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階層型ニューラルネットワークを用いた株価の天井度予測に関する研究

『平成12年度卒業論文(2001)』より

森川哲士

 目次

1. 本研究の背景
2. 本研究の目的
3. 階層型ニューラルネットワークと天井度予測
4. 天井度と乖離率(かいりりつ)
5. 従来の予測における問題点
6. 天井と底の自動判別法
7. 天井と底の自動判別法を用いた予測実験
8. 実験結果
9. まとめ
10. 課題
11. 参考文献

 1. 本研究の背景

 将来、日本は金融の自由化が進み 貯蓄型から投資型への転換が訪れると思われ、証券取引の自動化の要望があり、時々刻々と変わる株式を分析し予測するには階層型ニューラルネットワークが良く使われています。

 また、株の売買を行うときに知りたい指標とは、 「何処が天井で、何処が底か?」であります。

 この2つの天井と底より学習データの天井度を計算します。

 2. 本研究の目的

 天井度はニューラルネットワークを学習させるのに必要であります。株価曲線の"天井"と"底"を目視ではなく株価曲線を平滑日数を変えて平滑化して自動判別する方法を提案します。

 これにより天井度を計算し、それを使いニューラルネットワークを学習させます。
 また、予測するに当って、平滑日数、移動平均日数、中間素子数といったパラメータを変えて学習し、予測します。

 そして、予測と実際の天井度との最小誤差を取るパラメータを見つけます。

 3. 階層型ニューラルネットワークと天井度予測

 投資家は移動平均線の推移を重視しており、 売買の指標は株価の"天井"で売り、"底"で買います。このことから、出力を予測日の天井度、入力を予測日前日より60日前までの移動平均線からの乖離率(かいりりつ)とし、図.1のようなニューラルネットワークに与えます。

予測のニューラルネットワーク

図.1: 予測のニューラルネットワーク

 4. 天井度と乖離率(かいりりつ)

日経225と25日移動平均線

図.2: 日経225と25日移動平均線

 天井度 T n とは、"天井"を 1 、"底"を 0 として正規化したもので、以下の式のように与えられます。

式(1)

 但し、株価を S n 、天井と底(極値)となる日を A k , A k+1 とします。

 また、乖離率(かいりりつ) D n とは、移動平均値から実際の株価がどのくらい離れているかを示したもので、以下の式で与えられます。

式(2)

 但し、n 日のその日から過去 p 日の平均を移動平均値 M pn とします。

 5. 従来の予測における問題点

 今までは、目視によって "天井"と"底"を判別していました。これでは、多くの銘柄を判断するのは困難であり、長期間にわたる判断は時間がかかります。また、人によって見方が違い、"天井"と"底"の数が違ってきます。

 そこで、天井と底の自動判別法を提案します。

 6. 天井と底の自動判別法

日経225と平滑曲線

図.3: 日経225と平滑曲線

 手順としては、

  step 1: 実際の株価を前後 q 日で平滑化する。
  step 2: 平滑日数 q 日の曲線において、平滑株価が前後 q日の区間で最も大きいならそのグラフにおける極大、同様に小さいなら極小とする。この時求めた極値を F j とする。
  step 3: 平滑日数 q 日の曲線の極大(極小)点となる日の間で最も 小さい(大きい)株価の日 A k を実際の底(天井)とする。

 但し、図.3の実線を実際の株価曲線、波線を平滑曲線とします。

 7. 天井と底の自動判別法を用いた予測実験

 ニューラルネットワークを学習させるにあたって、次のパラメータの変更を行います。まず、移動平均線を重視して投資家は売買を行っていると言う事実から移動平均日数を変えます。次に、ニューラルネットワークの中間素子数を変えます。また、投資家により売買の期間が違ってくるので、天井度を作成するにあたっての、天井と底をとるために、平滑日数を変えます。

 これらを以下のように変えて実験を行い、予測した天井度と実際のものとにおける平均自乗誤差が最小となる最適パラメータについて検討をします。

  移動平均日数 : 5, 25, 60, 75, 135日

  中間素子数 : 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 90, 120個

  平滑日数 : 5, 10, 15, 20, 45日

 8. 実験結果

 実際の天井度と予測の誤差を以下の図.4に示します。

25日移動平均 (p=25)

図.4: 25日移動平均 (p = 25)

 最小の誤差を取ったのは、移動平均日数25日、中間素子数45個、平滑日数10日でありました。また、移動平均に関して平均誤差を取ったところ、以下の表.1のようになりました。

表.1: 移動平均に関する平均誤差

移動平均日数平均誤差
50.2388
250.1935
600.2069
750.2197
1350.2366

 この表から以下のことが言えます。

  ● 25日移動平均のとき誤差が最小となった。
  ● 投資家が、25日移動平均線を最も重視して売買をしていると言う点に一致している。

 9. まとめ

 株価曲線を平滑化することにより "天井"と"底"を判別する自動判別法を提案し、人間が介在せずに判別できるようになりました。また、これより学習データの天井度を作成しました。

 また、天井度予測における最適パラメータは移動平均日数25日、中間素子数45個、平滑日数10日でありました。

 10. 課題

 今後は、移動平均日数、入力素子数を変えて、また4層以上のニューラルネットワークでも予測をし、単一銘柄についても予測をすることを検討したいです。

 12. 参考文献

月本 洋:"実践データマイニング金融・競馬予測の科学" オーム社 1999年.

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企画・製作 村上・泉田研究室 HP製作委員会(2001)
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