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第2章 生体ニューロンについて

 人工のニューラルネットワークを設計するためには、生体のニューロンについても理解しておく必要があります。ここでは、生体ニューロンの構造や動作について説明します。

 このページの目次

2.1節 生体ニューロンの構造
2.2節 生体ニューロンの動作
2.3節 まとめ

 2.1節 生体ニューロンの構造

 1個の生体ニューロンは、図.1のように、細胞体とよばれる本体の部分、本体から複雑に枝分かれして突き出ている樹状突起とよばれる部分、本体から1本だけ出て末端で多数に枝分かれしている軸索と呼ばれる部分、の3つの部分から構成されています。樹状突起は、他の生体ニューロンからの信号を受け取る入力部であり、軸索は、他の生体ニューロンへ信号を伝える出力部となっていて、軸索の末端が他の生体ニューロンの樹状突起と結合しています。この結合部分はシナプスとよばれています。

 1個の生体ニューロンは、シナプスを介して、樹状突起で他の生体ニューロンからの信号を受け取り、細胞体で入力信号を処理し、軸索によって他の生体ニューロンへ信号を出力しています。そして、信号を受け取った他の生体ニューロンは、同じようにして、さらに別の、他の生体ニューロンへ信号を出力していきます。このように、生体ニューロンどうしが軸索と樹状突起によって結合しているため、ある生体ニューロンが信号を出力すると、次々と他の生体ニューロンへ信号が伝播していくことになります。

生体ニューロン

図.1: 生体ニューロン

 2.2節 生体ニューロンの動作

 それでは、細胞体で行われている処理とは、どのようなものなのでしょうか。1個の生体ニューロンの動作について、もう少し詳しく説明します。

 生体ニューロンの内部は、細胞膜によって外部と隔てられているので、細胞膜の内部と外部では、常に電位差が存在します。この、生体ニューロンの内部の電位を膜電位といいます。他の生体ニューロンからの入力信号がないときの膜電位は、生体ニューロンの外部よりも、70ミリボルト程度低くなっています。このことを、膜電位が-70ミリボルトであるといいます。ところが、樹状突起へ他の生体ニューロンからの信号が入力されると、膜電位が少し変化します。そして、膜電位が15から20ミリボルト程度高くなれば、生体ニューロンが興奮して、約1ミリ秒間、100ミリボルト程度のパルスが発生し、軸索を伝わって他の生体ニューロンに出力信号として伝えられていきます。しかし、15から20ミリボルト程度には高くならなければ、生体ニューロンは興奮せず、軸索にはなんの出力信号も発生しません。この、出力信号が出るかどうかを決定する値を閾値と呼びます。

 生体ニューロンは出力信号を他の生体ニューロンへ伝え、他の生体ニューロンの膜電位を変化させますが、他の生体ニューロンの膜電位を少し上げようとするものと、逆に他の生体ニューロンの膜電位を少し下げようとするものの2種類があります。前者は他の生体ニューロンを興奮させようするため、興奮性ニューロンとよばれ後者は他の生体ニューロンの興奮を抑えようとするため、抑制性ニューロンとよばれます。また、1つの生体ニューロンが、興奮性と抑制性の両方の作用を同時に及ぼすことはありません。さらに、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの両方から、同時に信号が入力されると、それらの作用は互いに相殺されてしまいますが、合計して、膜電位の変化の量が閾値を超えると、生体ニューロンは興奮し、軸索に他の生体ニューロンへの出力信号が発生します。

 2.3節 まとめ

 以上のような、生体ニューロンの動作をまとめると次のようになります。

  1. 生体ニューロンはシナプスを介して、樹状突起で他の生体ニューロンからの信号を受け取ります。
  2. ただし、興奮性ニューロンから信号を受け取った場合、受け取ったニューロンの膜電位が少し上がり、抑制性ニューロンから信号を受け取った場合、逆に、膜電位が少し下がります。
  3. 他の生体ニューロンからの信号を受け取ることで変化する膜電位が、ある一定の閾値を超えると、信号を受け取った生体ニューロンは興奮し、出力信号が発生します。出力信号は軸索を伝わり、他の生体ニューロンへ入力されます。
  4. 1から3の動作に基づいて、ある生体ニューロンが信号を出力すると、 他の多くの生体ニューロンへ信号が伝播していくことになります。

 これらの生体ニューロンの動作は、次章で述べる生体ニューロンのモデル化を行うにあたって非常に重要な特徴となります。

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企画・製作 村上・泉田研究室 HP製作委員会(2001)
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