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第5章 空間フィルタリング処理

 画像処理の中には、画像内に含まれる雑音を除去したり、画像のもつ特徴を抽出したり、各種の基本操作を施すフィルタリング操作と呼ばれる処理があります。その中でも、ディジタル画像に直接操作を行う空間フィルタは、画像の空間と同じ空間上で処理を行うので、とても使いやすく、広く利用されています。ここでは、さまざまな空間フィルタの構成法について紹介していきます。

 このページの目次

5.1節 空間フィルタリング処理の手法
5.2節 平滑化フィルタ
5.3節 特徴抽出フィルタ

 5.1節 空間フィルタリング処理の手法

 注目している画素とその近傍の画素の濃度値に、ある重み付けをしたあと、それらの和をとって、注目している画素の新しい濃度値とするような処理を近傍処理といいます。このとき、重み付けに用いる値は、オペレータなどと呼ばれます。今回は、3×3 の近傍領域を用いた空間フィルタについて考えていくことにします。

 注目している画素の濃度値を f (i , j ) とすると、処理対象となる濃度値は、表.2(a)のようになります。また、オペレータ a (k , l ) は表.2(b)に示します。

表.2: 3×3 の空間フィルタの原画像濃度とオペレータ

(a) 処理対象となる原画像の濃度値 (b) オペレータ
f (i -1 , j -1) f (i , j -1) f (i +1 , j -1)
f (i -1 , j ) f (i , j ) f (i +1 , j )
f (i -1 , j +1) f (i , j +1) f (i +1 , j +1)
a (-1 , -1) a (0 , -1) a (1 , -1)
a (-1 , 0) a (0 , 0) a (1 , 0)
a (-1 , 1) a (0 , 1) a (1 , 1)

 また、注目画素の新しい濃度値 f '(i , j ) は、表.2の (a) , (b) のそれぞれ同じ位置の値をかけて、それらの和で与えられます。式で示すと、

フィルタ処理

となります。

 5.2節 平滑化フィルタ

 画像は多くの種類の雑音を含んでいる場合があります。このような雑音の中でも、黒・白のような胡麻模様が不規則に入るような雑音をインパルス性雑音といいます。

原画像 白3% 黒3% のインパルス性雑音を加えた画像
(a) 原画像 (b) 白3% 黒3% のインパルス性雑音を加えた画像

図.21: インパルス性雑音の例

 このような雑音は、高い周波数成分を含んでいるので、平滑化をすることで取り除くことが可能です。

『平均値フィルタ』

 これは単純に、注目している画素とその近傍の画素の濃度値の平均値を、注目している画素の新しい濃度値とする方法です。オペレータは、表.3のようになります。

表.3: 平均値フィルタのオペレータ

1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9
1/9 1/9 1/9

 よって、このフィルタを用いて、図.21(b)を平滑化してやると、図.22のようになります。ただし、最外郭では、フィルタ処理はできないので注意して下さい。



図.22: 平均値フィルタをかけた図.21(b)の画像

 図.22を見ればわかりますが、この平均値フィルタでは、図.21(b)のように雑音の著しく入った画像においては、完全に雑音を除去することができません。

『メディアンフィルタ』

 平均値フィルタでは、近傍領域の平均値を、その中心の新しい濃度値としました。これに対し、領域内の濃度の中央値、すなわち 3×3 の領域であれば、9個の濃度値を低い(または高い)順番に並べ、5番目(中央)の濃度値を、その中心の新しい濃度値とするフィルタをメディアンフィルタといいます。

 図.23に実施例を示しますが、平均値フィルタに比べ、ぼけは小さく、平滑化の効果も大きいことがわかります。



図.23: メディアンフィルタをかけた図.21(b)の画像

 5.3節 特徴抽出フィルタ

 画像処理では、画像のある特徴を知りたいとき、フィルタ処理を施して特徴を取りだすという事もできます。これを特徴抽出といいます。ここでは、特徴抽出の重要なものの1つである、『エッジ検出』について紹介します。

 エッジとは、濃度値や、色や、模様等の特徴が似ている領域と領域との境界線のことをいいます。エッジ検出をすると、画像の中にある、図形などの形がどうなっているかという情報を得ることができます。

『MAX-MIN フィルタ』

 MAX-MIN フィルタとは、3×3 の近傍領域の中で、濃度値の最大値と最小値を取り出して、その差を中心の新しい濃度値とする方法です。今までのフィルタとは少しやり方が異なっていますが、こういう種類のフィルタも存在します。

原画像 白3% 黒3% のインパルス性雑音を加えた画像
(a) 原画像 (b) MAX-MIN フィルタによるエッジ検出

図.24: MAX-MIN フィルタの例

『ソーベルフィルタ』

 MAX-MIN フィルタは、単純にエッジを検出するだけですが、もっと特殊なエッジを、例えば、縦線や横線のエッジだけを検出したい場合には、どうすればよいのでしょうか?

 この場合には、ソーベルフィルタと呼ばれるフィルタを用います。ソーベルフィルタには、次の表のような縦線検出と横線検出の2つのオペレータが用います。

表.4: ソーベルフィルタのオペレータ

(a) 縦方向検出 (b) 横方向検出

1

0

-1
2 0 -2
1 0 -1

1

2

1
0 0 0
-1 -2 -1

 では、その処理結果を図.25に示します。見てのとおり、縦や横の線のみ、はっきりと検出されていることがわかると思います。

原画像 白3% 黒3% のインパルス性雑音を加えた画像
(a) 縦方向の抽出例 (b) 横方向の抽出例

図.25: ソーベルフィルタの処理 (その1)

 最後に、縦方向に検出されたエッジ画像の濃度値を f x (x , y )、横方向に検出されたエッジ画像の濃度値を f y (x , y ) とすると、この両方の検出をかけた画像の濃度値 f '(x , y ) は、次式で計算できます。

f '(x , y ) = ( f x (x , y )2 + f y (x , y )2 )1/2

 そして、その検出例が図.26になります。



図.26: ソーベルフィルタの処理 (その2)

 このように、ソーベルフィルタを用いることで、特別な場合のエッジ検出もできるようになるのです。

 以上、さまざまな画像処理について簡単に述べてきましたが、これを読んでくださったみなさんが少しでも画像処理に興味を持っていただけたら幸いです。

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