コラム / AI (人工知能) / 第3章

HOME 研究室概要 コラム 周辺探索 メンバー 掲示板 リンク

第3章 推論

 推論とは、前提となる事実や仮定からある結論を導き出すことです。推論には大きく分けて、一般的なものから特殊なものを導き出す必然的な推論と特殊なものから一般的なものを導き出す蓋然的な推論とがあります。前者を演繹的推論といい、後者を帰納的推論といいます。

 このページの目次

3.1節 推論規則
3.2節 論理的帰結
3.3節 形式的証明

 3.1節 推論規則

 まず、前提から結論を導き出す基本的な形式としては、次のようなものがよく知られています。

肯定式
1. P → Q
2. P
――――――――
3. Q


  1. 晴天である  ならば  遠足に行く。
  2. 晴天である。

  ゆえに

  3. 遠足に行く。



否定式
1. P → Q
2. 〜Q
――――――――
3. 〜P


  1. 人間である  ならば  生物である。
  2. 生物では  ない。

  ゆえに

  3. 人間では  ない。



三段論法
1. P → Q
2. Q → R
――――――――
3. P → R


  1. 人間である  ならば  生物である。
  2. 生物である  ならば  死ぬ。

  ゆえに

  3. 人間である  ならば  死ぬ。



 これらはいずれも 2 つの論理式1,2から 1 つの論理式3を導き出すというものですが、広い意味での推論とはこうした基本的な推論形式の積み重ねによって前提から結論を導き出すことであると考えられます。このような基本的な推論形式は推論規則と呼ばれます。

 3.2節 論理的帰結

 肯定式、否定式、三段論法などはいずれも"正しい"推論であるといわれています。 推論が"正しい"とは、それが真理保存的であるということです。すなわち、前提が真ならば結論もまた真となることです。

 論理式の集合 { P 1 , P 2 ,, P n } と論理式 Q を考えます。P 1 , P 2 ,, P n をすべて真とするような任意の解釈において Q もまた真となるとき、QP 1 , P 2 ,, P n からの論理的帰結であるといい、{ P 1 , P 2 ,, P n } から Q を導き出す推論は "正しい" すなわち健全であるといいます。

論理的帰結に関する定理
論理的 P 1 , P 2 ,, P nQ について

( P 1 , P 2 ,, P n ) → Q

が妥当であれば、そしてそのときに限って、QP 1 , P 2 ,, P n からの論理的帰結である。


 3.3節 形式的証明

 健全な推論規則は既存の論理式から真理保存的に新たな論理式を作り出します。そこで、ある恒真式の集合を用意し、これに推論規則を適用して新たな恒真式を生成するといった体系を考えることができます。このような体系において、出発点となる恒真式を公理、その集合を公理系といい、公理系と推論規則から導き出される論理式を定理といいます。こうした体系は、与えられた論理式が恒真式であることを証明するための証明方法を提供するだけでなく、無限に存在する恒真式を有限の公理と推論規則によって規定できるといった利点を持っています。

 命題論理の体系としては、例えば図.5に示すようなものが知られています。この体系では推論規則として肯定式がただ1つ用いられています。また論理記号としては、

  A B  =  〜(A → 〜B )  
  A B  =  〜AB  

であるから、〜と→だけが用いられています。公理系から推論規則を用いて定理を導き出すプロセスを形式的証明といいます。

命題論理の体系

図.5: 命題論理の体系

形式的証明
次のような条件を満足する論理式の有限系列 B 1 , B 2 ,, B n を論理式 B n の証明という。

(a) B i (1≦in ) は公理である、または
(b) B i (1<in ) は B jB k (1≦j , ki ) から推論規則によって直接導かれた論理式である。
論理式 B に対して証明があるとき、B は証明可能であるといい、

├ B

と表記する。証明可能な論理式が定理である。


 与えられた論理式に対して形式的証明を見つけ出すということは、一般にはそれほど容易なことではありません。そこで、公理系からのみ出発せずに、必要に応じて適当な仮説を設けるという方法が考えられます。このような方法を仮説からの演繹といいます。

仮説からの演繹
Γを論理式の有限系列としたとき、次のような条件を満足する論理式の有限系列 B 1 , B 2 ,, B n を仮説Γからの論理式 B n の演繹という。

(a) B i (1≦in ) は公理かΓの論理式である、または
(b) B i (1<in ) は B jB k (1≦j , ki ) から推論規則によって直接導かれた論理式である。
論理式 B に対してΓからの演繹があるとき、B はΓから演繹可能であるといい、

Γ ├ B

と表記する。


 仮説からの演繹から仮説なしの演繹すなわち証明を得るには、次のような演繹定理を用いればいいのです。

演繹定理
もし

A 1 , A 2 ,, A n -1 , A nB

ならば

A 1 , A 2 ,, A n -1A nB

である。


 この定理を繰り返し用いれば

A 1 , A 2 ,, A n -1 , A nB

から

A 1 → (A 2 → … → (A nB ) …)

が得られます。ところで、推論規則より

A 1 , A 2 ,, A n -1 , A nB

から

AB , AB

であるから、

Γ├ AB

ならば、
Γ , AB

であります。したがって、演繹定理は逆も成り立つことがわかります。

ページの上へ 前の章へ 上のページへ 付録へ


企画・製作 村上・泉田研究室 HP製作委員会(2001)
ご意見・お問い合わせは、こちら までどうぞ。